株式会社 清和荘 代表取締役
竹中徹男さん

私は1963年生まれですので、今年の12月で55才になります。現在は家業である京料理清和荘の三代目として調理をしながら経営をしております。

その私が、ご縁を頂き、本年4月より龍谷大学農学研究科修士課程において社会人学生として学ぶ事となりました。元々文系であって、しかも三十数年前に大学を卒業して以来、「学ぶ」ことから遠ざかっておりましたので、どうなることかと思いましたが、何とか前期を終えることが出来ました。

私の中での「大学院生」のイメージは、『専門分野についての論文を書くため、自らテーマを定めて、研究を行う』というものでしたが、昨今は卒業単位もしっかりと定められ、週3回大学に通い授業を受けております。お陰様で高校以来となる生化学や有機化学、そしてバイオテクノロジーの基礎や農業経営と、おそらくここに来ていなければ知り得ることの出来ない事柄を少人数の対話形式で授業を受けることが出来、学ぶことの新鮮さや、楽しさを実感して居ります。おそらくこの感覚は私の大学時代には味わえなかった事だと思います。後期から二年目にかけては自らのテーマに沿った実験を行い、研究を進めてゆく予定です。

さて、少子高齢化に伴い、日本の大学も競争が激しくなってきています。特色を作り、学生が学びたい環境を作ることが大学側にとっても非常に重要なのでしょう。私たちのような社会人学生も大切なターゲットになり得るのだと思いますし、一度社会に出てから本当に学びたいことを学ぶ、そして専門性を深めて再び社会貢献を行う。終身雇用制があたりまえで無くなって来た日本の社会において、非常に魅力的な学習スタイルであると思います。確かに学費もかかりますし、時間的な制約も多いでしょう。しかし、その負担を上回る何かが、社会人学生にはあるのだと思います。60の手習いとよく申しますが、学びたい時が学ぶ時です。皆さんも機会があれば大学で学んでみては如何でしょうか？