株式会社大垣書店 代表取締役
大垣守弘さん

明治維新150年
今年は幕末の動乱の中、江戸城無血開城を経て新しく明治政府が発足して150年目となります。大河ドラマでは林真理子原作「西郷どん」が放映され、今までとは一味違った西郷像が描かれ楽しく観ています。鹿児島市内の「西郷どん大河ドラマ館」には3月25日で既に来場者が10万人を突破したというニュースも流れています。京都においても、京都府・京都市あげて様々な企画が進行していますが、ご当地検定の走りとなった『京都観光文化検定』の1級合格者が史跡を案内するツアーが人気を集めているようです（1級合格者は受験者のうち0.2％ほどという世界です）。トリビア的な知識も豊富で、単なる観光案内を超えたご当地案内に魅力があるのでしょう。

紙の出版物の売上は年々減少の一途ですが、それでも紙媒体による書籍の重要性は廃れることは無いと信じております。創業より76年を迎える当社では≪百年書店を目指す≫というスローガンを掲げ、地域のお客様の興味や期待に応える商品や体験をお届けし、知的好奇心を満たすお手伝いをしていきたいと考えています。

さて、その書籍にまつわる記念日のお話ですが、11月1日に「本の日」が制定されることはご存知でしょうか。全国の老舗地方書店で結成された『書店新風会』が制定に向けて動き、昨年9月に日本記念日協会に承認され登録されました。本年11月1日に初めての「本の日」を迎えます。この日には、11と1で数字の１が本棚に本が並ぶ姿に見えることと、想像、創造の力は１冊の本から始まるとのメッセージが込められています。読書推進運動の活性化を目標に掲げ、多くの方に書店に足を運んでいただくきっかけを作ることと、読者の方に向けた謝恩企画などで盛り上げていき、「本」をより身近に感じていただける日になればと考えています。今年の11月1日は、是非本を手に取っていただき本と関わっていただくことで「本の日」という記念日が浸透することを願っています。

最後に、西郷隆盛が作ったたくさんの漢詩の中の一節をご紹介いたします。

「天意を識る」
　雪に 耐ゆるの 梅花は 麗はしく　・・・　寒い冬を耐えたから梅は麗しく咲き
　霜を 経（へ）るの 楓葉は 丹（あか）し　・・・　霜にさらされたから楓は綺麗な赤い色となる
　如（も）し 能（よ）く 天意（てんい）を 識（し）らば　・・・　私も自分のやらねばならないことをわかれば
　豈（あに） 敢（あえ）て 自ら 安きを 謀（はか）らんや　・・・　どうして安易に楽を出来ようか