株式会社片岡製作所 代表取締役社長
片岡宏二さん

私は数年前から、ある偉大な経営者に大変関心を持っています。彼は現在まだ44歳の若さです。学生の頃から「地球環境は危機に瀕している。人類を火星に移住させなければならない」と言っていました。しかし周囲は彼をクレージーだと言って誰も相手にしませんでした。その彼は今や有名になった電気自動車メーカ・テスラのCEOであるイーロン・マスクです。テスラは1回の充電で航続距離500kmの電気自動車を開発し、昨年度は50,580台を販売しました。そして本年3月31日に発売した廉価版（400万円）のモデル3（航続距離は345km）は、発売して1週間で325,000台の受注を獲得し、3週間で400,000台の受注を獲得しました。またこの電気自動車に採用する電池工場として、ネバダ州リノで巨大電池工場ギガファクトリーを建設中で有ります。彼の目標は全ての車を電気自動車にすることで、2020年には年間50万台の電気自動車を生産する予定です。

さらに彼は人類の火星移住を目指し、宇宙ビジネスに参入しました。2002年に宇宙ロケットベンチャー「スペースX」を設立しました。宇宙輸送のコストを抑えたい米航空宇宙局（NASA）より、ロケット打ち上げ契約を獲得し、2012年には民間で初めて国際宇宙ステーションへの物資輸送に成功しました。さらにNASAから業界を震撼させる発表があり、スペースシャトルの後継機として2017年に初飛行を目指す有人宇宙船の開発を、スペースXがボーイングと共に受注しました。

そしてイーロン・マスクはロケットを再利用し、従来比100分の１の打ち上げコストを目指して、激安で宇宙へ行けるロケットを開発しています。日経新聞の4月9日（夕刊）に写真付きで掲載されていた記事によると「スペースXは8日、国際宇宙ステーションに食料等の物資を補給するためのロケット打ち上げで、ロケットのブースター（エンジン部分）の傾きを調整しながら、海上に浮かぶ基地に垂直に着陸させて回収することに初めて成功した」とのことで、ロケットを回収・再利用することにより打ち上げ費用を従来の約100分の１に引き下げられるそうです。4月15日には、2020年には地球から観光に訪れる「宇宙ホテル」や産業施設として利用できる初の「民間宇宙ステーション」を米宇宙企業が打ち上げる計画で有ると報じています。私は近い将来イーロン・マスクの夢は叶うと信じています。